——母親を演じることに不安はなかった?
水野美紀:悩みも不安もいっぱいありましたよ(笑) 。同級生はみんな子供がいて、彼女たち曰く、やはり子供に対する愛情は、ペットや友だち、恋人や兄弟に対するそれとは違うらしく、その辺りが全然わからないまま、監督からは愛情が深く、芯の強い母親としての演技を求められ…。「愛情」をどう表現しようか、という点に最もこだわりました。
——温かく包み込むような母親役でしたが、「愛情」の答えは見つかった?
水野美紀:私自身、子供を産んだことがないので、本当の愛情を理解するのは難しいと思いました(笑)。でも、お手本がすごく身近なところにあったんです。共演した亮平くんと里琴ちゃんのお母さんたち。撮影中に子供たちがふざけると、お母さんが何気なく注意するでしょ。 「早くしなさい!」とか、「ちゃんとしなさい!」とか。その言葉にすごく愛情がこもっていて、キツイ感じが全然ない。怒られた子供たちも、その言葉に対して特別な反応をしない。そんな何気ない光景をお手本に、お母さんたちからアドバイスもいただきながら、勉強しました。
——妊婦も演じていましたね。
水野美紀:実はお腹に5キロの布団を入れていました。最初は綿を使ったのですが、軽すぎて妊婦にしては動きが機敏だということになり(笑)。でも、お腹にオモリを入れたことで、母親という役に近づけた気がします。腰は痛くなるし肩も凝る・・・母親って大変だなと思いつつ、なぜか愛情豊かになってくるんです。役作りにもすごく反映されました。動きも自然とおっとりになって、女らしくなったり(笑)。
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——では、そろそろ水野さんも母親に。
水野美紀:私の演じた慶子は、すごく完璧な女性です。家事もちゃんとこなして、いつもきちんと掃除して。本音を言うと「私にはできっこない」みたいな(笑)。でも、今回の映画を通じて自分の母が「親は子供に育てられるのよ」と言っていた意味が少し理解できた気がします。
——この映画のテーマでもある「家族」への想いは変わりましたか?
水野美紀:水野美紀:大切なのは、コミュニケーションだと思います。この映画でも強く表現されていますが、子供は親のことよく見ている。同じ目線に立って子供の気持ちを一生懸命聞いて、親の気持ちもきちんと伝えることが必要だなと。 |