TOP > エンターテイメント > 奥田瑛二監督映画「風の外側」主演・俳優佐々木崇雄に公開直前インタビュー
モントリオール世界映画祭で三冠に輝いた『長い散歩』の奥田瑛二監督最新作『風の外側』が12月22日に公開される。この映画の主役に大抜擢されたのがモデル出身の佐々木崇雄さん。パリコレなど数多くのショーへの出演経験もある注目俳優だ。そんな佐々木崇雄さんをUside(ユーサイド)が直撃! 作品の見所や、まだ知られていない彼の素顔に迫りました。
撮影:天野渚 協力:オフィスパレット≫、グアパ・グアポ |
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——初主演作『風の外側』はどのような作品ですか? 佐々木崇雄:夢見ることすら出来ず、自分の感情を押し殺して生きている在日朝鮮人の青年とオペラ歌手になる夢に向かって頑張る少女の不器用な恋を描いた作品。僕が演じるのは、その在日朝鮮人の青年・趙聖文(チョ・ソンムン)です。 ——難しい役どころですね。奥田監督からはどんなアドバイスを? 佐々木崇雄:「陽炎のような男だから」とだけ言われて(笑)。でも、「陽炎のような」と言われても全く分からず、最初は、自分の中でのイメージを体現していましたが、撮影を重ねるうちに徐々に掴めてきましたね。 ——監督は俳優としても大先輩ですが、俳優・奥田瑛二として話す機会もあったのでは? 佐々木崇雄:撮影中に監督と俳優のスイッチが切り替わって、監督自身が演じて見せてくれました。それは、新人にとって凄くありがたいことですが、逆に高いハードルを課せられた瞬間でもありましたね。どうすれば、監督のOKがもらえるのかと、かなり緊張感のある現場でした。 ——1番テイクが多かったシーンは? 佐々木崇雄:殴り合いのシーンですね。カメラとの位置で見せ方が全然変わってくるので、10テイク以上撮りました。OKが出たときは、嬉しさよりも疲れ果てていましたが(笑)。 ——1ヶ月にも及ぶ下関のロケでのリフレッシュ法は? 佐々木崇雄:下関という場所自体が独特な雰囲気を持っていたので、撮影の合間に街を歩いたり、海や山など景色を見たりすることでリフレッシュできました。監督や共演者の方と撮影後にお酒を飲むのも楽しみのひとつでした。 ——監督は、お酒の席でも演技指導とか? 佐々木崇雄:監督は現場を離れたら一切仕事の話をしないんですよ。食べ物の話とか他愛のない話をしてましたね。でも、撮影で上手くいかずに落ち込んでいると、終わった後に「飲みいくか!」と声を掛けてくれて。それまでは怒鳴られていたんですけどね(笑)。まさにアメとムチでしたよ。 ——結構、お酒は嗜む方? 佐々木崇雄:好きですね。料理によってお酒を変えて何でも飲みますよ。映画の中で居酒屋のシーンがあるのですが、そこでは少しだけお酒を混ぜてもらって、撮影終了後にそのまま飲みました。 ——作品では、夢を追う少女に心を奪われる役でしたが、佐々木さんご自身はどんな女性がタイプ? 佐々木崇雄:見ただけでは分からない深みのある女性に魅力を感じますね。凄く大人しそうに見えて、実はアクティブとか。 |
海外でも高い評価を得ている奥田瑛二監督が放つ待望の最新作『風の外側』。下関を舞台に、夢を見ることすら許されず、悪事に手を染めることでしか生きるすべを見出せない青年と、実業家の父を持ち、オペラ歌手という夢を目指す少女の不器用な恋を描いた珠玉のラブストーリー。夢を見ることの素晴らしさ、人を心から思う気持ちの温かさや切なさがじんわりと伝わってくる。 【STORY】オペラ歌手を夢見る真理子(安藤サクラ)は、ある朝、チンピラに絡まれ、鞄を海に落とされてしまう。そこに一人の青年(佐々木崇雄)が現れ、海に飛び込み鞄を拾ってくれるが、真理子の大切にしていた楽譜が無くなってしまう。その償いに青年は真理子のボディガードに。無口で名前すら名乗らない青年だったが、やがて2人は親密になり、恋心を抱き始める。しかし、青年には真理子には言えないある任務があった・・・・・・。 佐々木崇雄:真理子と二人で走るシーンは、差別や貧富、年齢、性別など、いろいろな壁から開放され、自由へ向かって走り出しているような映画の中でも象徴となる印象的なシーンですね。 |
——作品のテーマでもある「夢」ですが、佐々木さんの幼い頃の夢は? 佐々木崇雄:パイロットに憧れていましたね。今は、俳優という仕事に夢を持っています。映画の主役も夢の一つだったので、こんなに早く実現して驚いていますが。 ——パリコレなど多くのショーで活躍していた佐々木さんが、モデルから俳優に転身したきっかけは? 佐々木崇雄:父が病気になり、20歳でモデルを辞めて、普通の仕事をしながら父の側にいたのですが、22歳の時に亡くなり、人生って短いなと感じたんです。そんなとき、声をかけていただいて、俳優という道に進むことに決めました。自分の中に俳優への思いがくすぶっていたということもあります。役を通していろんな人生を体験できる俳優になることで、短い人生を大切にしたいと思いました。 ——今後はどんな俳優になっていきたいですか。 佐々木崇雄:ふり幅の広い、固定のイメージのつかない俳優になりたいですね。今回のような硬派とはまた違った役も演じてみたいですね。コメディータッチとか、オカマ役とか(笑)。どんな役でもこなせるようになりたいです。 ——最後に映画の見どころをお願いします! 佐々木崇雄:夢見ることを諦めた青年と夢に向かって頑張る少女の恋愛青春映画ですが、汚い部分もしっかり見せていて、だけどそれがとてもピュアに感じ、リアルであってリアルじゃない不思議な感覚になるはずです。夢や愛をまっすぐ、正直に語っている映画なので、忘れていた何かを思い出したり、夢に向かって頑張ろうと思ったり、見た人が何かを感じて劇場を出てもらえると嬉しいです。 ——ありがとうございました。 |
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「こんな人間です」性格をひとことでいうと?
打たれ強いですね。弱音を吐いても諦めない、ネバーギブアップ精神がモットーです。 「穴があったら、入りたい!」恥ずかしかった事件は? いっぱいありますよ、ファスナー全開とか(笑) でも、役者の仕事をしてから、恥ずかしいと思うことがあまりなくなりましたね。人に見られることに慣れたというか、笑ってもらえば、それでOKみたいになってしまって・・・。 「もうすぐクリスマス♪」エピソード&今年の予定は? 去年は、友達とシャンパンだけでかなり酔っ払いましたね。今年も仕事じゃなければ、みんなでワイワイやりたいです。 「実は、○○なんです」秘密を教えて! 実は、20歳過ぎてから逆上がりが出来るようになりました。それまで絶対に出来なかったのに、たまたま公園に行って逆上がりしてみたらスッとできたんですよね。まぁ、20歳過ぎて逆上がりをする機会もそうないですけど。 最後にUsideの読者へひとことお願いします。 男女平等といえども社会では厳しいこともあると思います。『風の外側』でも自分のアイデンティティや、超えられない壁とか、さまざまな障害があるのですが、超えられない壁はないと思うので、諦めないで頑張ってください! |
モデル出身というだけあって、長身でイケメンの佐々木さん。見た通りの硬派なイメージそのままに、ゆったりとした口調で質問に丁寧に答えてくれたり、時折見せる爽やかな笑顔に胸キュン状態でした |